◆漢方薬の種類
| 薬方 |
病位 |
虚実 |
特徴 |
| 白虎加人参湯 |
陽明病 |
実証 |
陽明、炎症がひどく、熱のみで支配されている場合に用いる。石膏と知母は代表的な寒の生薬で、消炎、解熱に働きます(清熱瀉火)。その他、
人参、甘草、粳米、知母は体内の水分を保持する。石膏、知母は鎮静に働き、いらいらを鎮める。 |
| 黄連解毒湯 |
少陽病 |
中間(やや実証) |
陽支配であるので、主に抗炎症作用を期待して用いる。黄連、黄ゴン、黄柏、山梔子は全て、強い消炎、解熱、抗菌、抗化膿作用、
自律神経の興奮をかん。
黄連、黄ゴンは白血球貪食能を高め、免疫機能を増強する。 |
| 補中益気湯 |
太陰〜少陽病 |
虚証 |
中を補い気を益すという意味のごとく、人参、黄耆、白朮、甘草、大ソウは全身の機能を高め、代謝を促進し、消化吸収を
高め(中を補い)、元気をつけ疲労感を除き抵抗力を増す(気を益す)。当帰は補血に働く。Th1とTh2のバランスを改善する作用がある。
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| 十全大補湯 |
太陰〜少陽病 |
虚証 |
補気の生薬は補中益気湯と似ている。違いは川キュウが入って補血作用が強まったのと、ブクリョウによる利水(リンパ液などの排泄)
、桂皮による血管拡張→血流促進が加わったところでしょうか。 |
| 十味敗毒湯 |
少陽病 |
中間(やや虚証) |
解毒、解表剤で、防風、ケイガイ、川キュウ、生姜は体表血管を拡張して、皮疹を汗とともに透発させる。そのほか痒みどめ、
解熱、排膿効果もある。 |
| 当帰飲子 |
太陰病 |
虚証 |
陰で虚ですので炎症(熱)のない乾燥病変に用いる。当帰は川キュウとともに駆オ血剤であるので、血行不良からくる冷え、自律神経の乱れを調節
したり、肌表面の乾燥を補う。 |
| 紫雲膏 |
紫根(シコン)の成分である、シコニンは血管透過性抑制による抗炎症作用と皮膚の際勢力を高める創傷治癒作用があり、アセチルシコニンは抗菌、肉芽形成促進作用があります。
当帰は前述の通り、肌表面に潤いを与えるとともに体表の血流を促進します。基剤は単軟膏(ミツロウ+ごま油)となっています。
その創傷治癒力のせいで、火傷、凍瘡に主として使われます。アトピー性皮膚炎で使うとき場合は、抗炎症作用は弱いので、創傷治癒力に期待して、
主に傷がある部位、もしくは顔に使用するとよいでしょう。
ただし、紫根の色がすごいので使用する機会は限られますが・・・。
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<いろいろな漢方薬に含有している甘草の作用>
漢方薬の中に最も多く含まれている成分といても過言ではない甘草、その
甘草の成分であるグリチルリチン、グリチルレチン酸は皮膚科領域でグリチロンという錠剤でも広く使われています。
グリチルリチンには、 抗炎症作用(血管透過性抑制作用、白血球遊走抑制作用、肉芽形成抑制作用) 抗アレルギー作用(ケミカルメディエータ遊離抑制による、ヒスタミン
遊離の抑制、PLA2抑制による、ロイコトリエン類の抑制) 免疫調節作用(マクロファージ抑制、NK細胞・IFNの賦活) ステロイドホルモンの代謝酵素を阻害することで
内因性ステロイドを増加させる 血小板凝集抑制作用などをもつ。
◆漢方の考え方
漢方の考え方の特徴は、病名を見ないということで、同じ風邪であっても、汗をかいているのであれば桂皮湯、
汗がなければ葛根湯のように出される薬は異なるものになります。
漢方における診断とは病名ではなく”証”を決定することであり、その診断方法として四診が用いられます。
1) 望診・・・視覚による診察(体格、姿勢、舌)
2) 聞診・・・聴覚、嗅覚による診察(咳、口臭)
3) 問診・・・患者の訴えを聞いて診察(悪寒、熱、汗)
4) 切診・・・「接」と同意語で、触覚による診察(脈診、腹診)
この四診を用いて導き出される結論が証であり、証は八綱(陰陽裏表虚実寒熱)、気血水、六病位で構成されています。
その証と方意(薬方の証、方剤)を結びつけることで治療していきます。
東洋医学では病気の原因は、気、血、水という3つの影響によって引き起こされると考えられています。
気とは精神、神経を意味し、血はその名の通り血液を、水は血液以外の液体(リンパ液など)を意味しています。
例えば、神経性胃潰瘍は気・血・水全てが関わる疾患です。神経が亢進すれば、頭に血が上り、発汗し、胃などの消化器官に血が回らなくなり潰瘍を起こし、血便、吐血が起こります。
八綱は気血水のような病気の原因ではなく、病気そのものの状態を表します。方意と証は対応しているため、このような診断方法を方証相対と言います。
八綱の特定の仕方は以下の通りです。
@ 陰陽に分ける
陽とは熱がある状態(熱性)のこと、陰とは冷たい状態(寒性)のことを言う。よって、陽の状態であれば熱をとってあげれば良く、逆に陰の状態であれば暖めてあげればよい。なお、体温計で計る熱ではなく自分でどう感じるかである。
A 虚実に分ける
実は気力・体力がある状態のこと、虚は気力・体力がない状態のことを言う。熱があっても体力があれば、陽実証と診断される。陽明病と少陰病を見分けるときに効果的
虚実は1つの病位の中にも存在し、例えば、大柴胡湯は実、小柴胡湯は虚よりである。
B 裏表に分ける
表とは体の表面で見えるところを言い、裏とは口から肛門までの消化器官を言う。半表半裏はその間の心臓・内臓を言う。寒くて体力はあるが下痢をしている状態(夏など)は陰実裏証(太陰病)と診断される
C 寒熱に分ける
寒熱は陰陽が決定すれば自動的に決定することが多いため、あまり重要でないように思える。どうも表を寒熱に分けるというような使い方をするみたい。
D 八綱の内容から六病位に当てはめる
病気の進行:太陽病→少陽病→陽明病→太陰病→少陰病→厥陰病
| 病位 | 太陽病 | 少陽病 | 陽明病 | 太陰病 | 少陰病 | 厥陰病 |
| 陰陽 | 陽 | 陽 | 陽 | 陰 | 陰 | 陰 |
| 虚実 | 虚実 | 虚実 | 実 | 虚実 | 虚 | 虚実錯雑 |
| 裏表 | 表 | 半表半裏 | 裏 | 裏 | 裏 | 裏 |
| 寒熱 | 熱 | 熱 | 熱 | 寒 | 寒 | 寒 |
| 熱 | 悪寒発熱 | 往来寒熱 | 潮熱 | | | |
| 治法 | 発汗 | 和解 | 瀉下 | 温散 | 温散 | 不定 |
| 日数 | 初〜3日 | 5,6日 | 6,7日 | | | |
往来寒熱=寒さと暑さが繰り返す 潮熱=体中にみちわたった熱
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